胆道癌の各種治療法

 (1)臨床所見と診断

 肝外胆管癌と胆嚢癌があるが、症状としては黄疸が特徴的であり、特に胆管癌では初発症状となりやすい。他に鈍痛、食欲不振などがある。胆嚢癌では胆石を合併することが多く、胆石発作で発見されることもある。胆嚢炎、胆管炎の合併があれば発熱を伴う。診断は、超音波検査、CTが簡便で非侵襲的であるが、正確な部位診断のためには逆行性膵胆管造影ERCP、あるいは完全閉塞に近ければ治療を重ねた経皮経肝的胆管造影PTCが有用である。

 (2)治療

 黄疸が著しい場合は減黄術を行う。経皮経肝胆道ドレナージPTBDと内視鏡的逆行性胆道ドレナージERBDがある。化膿性胆管炎を合併すればエンドトキシンショックや血管内凝固症候群(DIC)などの致死的合併症を併発するので、胆管炎合併例では早急なドレナージを必要とする。胆道癌の治療としては次のようなものがある。

 al)手術療法
 b)放射線療法
 c)免疫療法
 d)温熱療法
 e)イヒ学療法(全身、動注)

 手術療法:固形癌の治療法の原則は手術療法である。胆道系特に肝門部は門脈・肝動脈が並走しており、これらへの浸潤や肝転移率が高いことから予後の悪い癌である。肝門部では胆管および肝葉切除が、中・下部胆管癌では膵頭十二指腸切除術が行われ、リンパ節郭清を併施する。

 放射線療法:手術との併用療法で行う場合や非手術例へのPTBDを介しての胆管腔内照射がある。免疫療法や化学療法との併用で行われる。

 温熱療法:手術非適応例に対して放射線療法や化学療法との併用により行う。温熱療法未施行例平均生存期間2.1ヵ月に対して、温熱施行例11.9ヵ月という報告もみられる。またPTBDチューブを介してマイクロ波腔内加温も行われている。

化学療法:単独両方の有効率は5-FUが、胆嚢癌11%、胆管癌8%であり、 MMC、 ADRもほぼ同様の結果である。必ずしも良好な成績は得られて卜ないが多剤併用療法では、 5-FU、ADR、 MMCのFAM療法の有効率は29%である。

 しずれの化学療法とも十分な効果が得られていないので、治療法としては1つの治療法だけではなく各種治療法を組み合わせた集学的治療法が必要である。