子宮体癌の補助化学療法、寛解導入療法

1.子宮体癌の臨床進行期分類

 頸癌と同様体癌に関しても、臨床進行期分類は治療法の決定に際し最も基本となるものであり、日本産科婦人科学会では国際的にも通用する基準としてFIGOによる国際臨床進行期分類を採用している。

2.子宮体癌に対する薬物療法

 体癌治療の原則は手術療法である。即ち、0期~Ⅲ期までの体癌治療のfirst choice は手術療法であり、Ⅳ期および再発症例に対しては放射線療法あるいは薬物療法が選択される。特に遠隔転移を伴う進行期症例や再発症例における薬物療法の持つ意義は非常に重要である。頸癌同様体癌においても、補助化学療法と寛解導入療法の二法がある。

 1)補助化学療法

 体癌におる補助化学療法の目的は頸癌と同様である。教室で施行している体癌の治療。予後良好のO期および癌浸潤が筋層1/3以内のG、症例以外は全て、寛解導入後5-FUまたはUFTによる補助化学療法を施行している。

 2)寛解導入療法

 手術および放射線療法はあくまでも局所療法であるため、すでに遠隔転移を示すⅣb期症例・再発症例等の癌が全身疾患となった症例に対しては、抗癌剤による全身療法としての化学療法が不可欠である。体癌における寛解導入療法の理論や考え方は頸癌の場合と同様である。

 婦人科がん化学療法共同研究会では、体がん第三次研究(症例のエントリー期間は平成元年12月から平成3年11月の2年間であった)を施行中である鵈そのプロトコールを示した。

 1958年Babcockら、 Salaらにより合成されたMedroxyprogest-erone acetate (MPA、酢酸メドロキシプロゲステロン)は、強力な黄体ホルモン作用を有するステロイドホルモンである。子宮体癌に対するホルモン療法としてMPAが用いられているが、その主な作用機序としてはプロゲステロンによる癌細胞の機能的分化の促進およびDNA、 RNAに対する直接的な合成m害等が考えられている。副作用として重篤な動・静脈血栓症の発現が報告されており、定期的な凝固機能のチェックが不可欠である。

 子宮頸癌および体癌における薬物療法の理論と実際について、現在教室で施行して卜る婦人科がん化学療法共同研究会によるプロトコールに沿って解説を進めた。同研究会による全国規模での治療成績の成果が期待される。