モルヒネが有効な痛み
Twycrossらは,癌における痛みについてオピオイド(モルヒネなど)との関係を次の4つに分類している。
① オピオイドが無効な痛み
② オピオイドがある程度有効な痛み
③ オピオイドが有効な痛み
④ オピオイドが有効であるが,その使用が適切でない痛み
①は,痛覚求心路遮断による痛み,交感神経が関与した痛み,筋の攣縮に伴う疝痛などであり,抗うっ剤の投与や神経ブロックなど他の治療法が適応となる。②は,骨転移痛や神経圧迫痛などで, NSAIDsやコルチコステロイドをモルヒネと併用することで徐痛の質が高まる。③は,内臓転移や内部組織浸潤による痛みで,多くの癌疼痛がこれに起因しモルヒネが奏効する。④は,便秘や過敏性大腸炎などの大腸の機能異常に伴う痛みで,抗コリソ剤やメトクロプラミドなど消化管機能改善剤を用いるなどとしている。
このように,痛みの質について予め知っておくことでさらに有効なモルヒネ投与が可能となる。