論文の被引用での損得

 

    ||サイエンス・サイテーション・インデックス」からみえてくる研究論文の書き方

   の損得にもふれておきたい.

①論文の第1著者になる

 

  第1の点.論文の第1著者になることである.

 

  論文の情報は第1著者(Primary Author)を中心に整理されている.しかも,研究者社会では,研究成果の最大の功績を第1著者に与えている.第2著者以下の著者(Second A凵thors)は和風ハンバーグについてくる大根おろしのようなのものである.キミはハンバーグのほうにならなくてはいけないのだ.なお,第1著者でなければ,名前がどこに入っていても文献引用上は損得がない.不肖・ハクラクの研究室に,自分は3番目ではなく,2番目の著者のハズだと涙ながらに訴えてきた大学院生がいたが,泣くほどのことはないのだ.なお,文献引用上は損得がないといったが,共著者名を9人までしか載せないデータベースもあるから,9番目よてには入れてもらったほうがいい.また,最初の3人の著者だけを書いて,それ以降の著者を「そのほか(e↑al.)」とすることもあるので,3番目までに入れてもらうと,もっといい.

 

②世界で1人しかいない名前にする

 

 第2の点.世界で1人しかいない名前にすることである.

 

 例えば,鈴木政信という名前の人は「SUZUKI M」に分類されている.そのとき政信でも守夫でも真由美でもすべて同じ[SUZUKI M]に入ってしまう.だから,本人でさえ,どの論文が自分の論文かわかりにくい.その程度のことで気にすることはない,と多くの人は思うかもしれない

 

 1998年8月19日の朝日新聞に,「ランクづけ,日本人名は損?」という記事によると尸81年~'97年の論文被用回数の個人別ランキングを単純にリストすると,付録表フのようになるという.つまり,第3イ立に「K.タナカ」,第4位に「K.タカハシ」,第5イ立に「T.タナカ」が大ってくる 上位110人のうち,ナント,約半分の52人が日本人らしい名前であるという そして,こういう名前の人は,「複数の人の合算だと思われるので,被引用回数ランキングをつくるとき,リストから除く」とあるのだ.

 

 それで,現状のままだと同姓の人にうもれるだけでなく,自分がリストから外されてしまう.というわけで,仕方がないけど,名前を工夫するのはどうだろう.しかし,親からもらった名前を変えるには抵抗がある.どーするか?

 

③ミドルネームを勝手につくる

 

  こっそり派へのおすすめはミドルネームを自分で勝子につくって,イニシャルを入れてしまうのだ.例えば,あなたが映画女優ミシェル・ファイファーのファンならミシェルのMをとって, Masan囗bu M. SUZUKIとMを入れてしまうのだ.そうすれば,「SUZUKI MM」となって[SUZUKI M]とは別の人の扱いとなる.囗NAの二重らせんの発見者でノーベル賞受賞者のJames D. Wa↑so冂がよければ,ジェームズのJをとってMasanobu J. SUZUKIつまり「SUZUKI MJ」としてもよい.この応用はいくらでもできる.イニシャルを2つ入れて, Masanobu A【⊃. SUZUKIとたってできる.「SUZUKI MAD」,マット・スズキ,そんな名前つけるヤツァーいないか.

 

  自分自身でつける名前はかなり愛着がわくので,結構オススメである.そして,このミドルネームを海外での自分のニックネームとするというウルトラCも使える.つより英語圈ではファーストネームで呼び合うことが多いが,外国人に「マサノブ」と呼ばせるのは相当きつい.それで,自分を「ジェームズ」とか「ジム」と呼んでくれといって,ミドルネームの「ジェームズ」をニックネームにしてしまう子だ.これで日本の研究者の国際化が少しは進むだろう.ただ,名前はもともと男性用,女性用があるから,ミシェルと名乗っといて,ヒゲづらの大男が「ミシェルはワシだが,何か用か」というのはマズイからね.

 

 堂々派へのおすすめは,ミドルネームで使った子を,英文論文の著者名では,ファーストネームとしてしまうのだ.上記の例でいえばJames M SUZUKIとしてしまうのだ これはチョットニ世臭さがあるけど,英文論文の著者名が日本での日常生活に支障をきたすことはないので,実生活上の実害はない.ただ,大胆たというだけだ.こういうやり方をした日本人の実例をあげると,トム(Thomas N.Sato : テキサス大学助教授)やポール「Paし」I K. Nakane :長崎大学・中根一穂教授)がいる カリフォルニアエ科大学のコニシ・マサカズ(Masakazu Konishi)教授はマーク(Marc)と称しているので,同じジャンルかもしれない.

 

 結婚した女性(男性でももちろんOK)が,英文論文の著者名のときだけ,ハイフンをつけて旧姓を残している人もかなりいるが,これも世界で1人だけの姓となるし,日常生活上は支障をきたさない.グッドである.ただ,あるときから,戸籍上の配偶者の姓をハズして川日姓だけを使い始めると,「アレ,離婚したのかな」と勘違いされるだけだ.アメリカ,ラトガース大学にいる友人のS. Yam日shiro-Matsumuraが,論文著者名を旧姓のS. Yam日shiroとした眄には,マジで,離婚したと思ってしまった.もいるかもしれないけど,大沢文夫先生は「ウーセイ」人ではなかった.物静かな先生だった.「Oosawa」は「Ohsawa」,「Osawa」より個性的かもしれない