doで「調子」を表現する

 英語のあいさつで、How are you?はもっとも一般的なものであるが、もう少しcolloquial(口語的)になると、How are you doing? となる。

 英英辞典ではこの意味のdoを、to perform or advance successfully or unsuccessfully (成功裡にあるいは不成功裡に遂行するあるいは前進する)と定義している。初対面の時に、How do you do? と言うけれども、この場合のdoも基本的にはこの意味であろう。

  My children are doing well at school.は、「子供達は学校でよくやっています」ということで、親が子供のことに関して語るような場合、よく囗の端にのぼる言葉である。

 何か失敗をおかした人に対する言葉として。

  l hope you'll do better in the future.

というのも考えられる。これは、言っている人と言われている人の人間関係、あるいはその言い方によってニュアンスは異なる。文字通りの意味は、「これからはもっとうまくやってくれることを希望します」であるが、「今後はもっと気をつけてくれたまえ」といった感じになることもある。

「殺す」「だます」「疲れさせる」

 これもcolloquialな用法であるが、inとのコンビネーションで使われる。

  They did him in in a car accident.
   (彼らは交通事故で彼を殺った)

 do~inが慣用表現で、doとinの間に目的語が入る。

 do~inは「殺す」という意味の他に、「だます」(cheat)の意味もあるので注意を要する。

  I hate to say this, but it looks like he's done you in on that deal, my friend.
  (言いにくいけれども、どうもその件じゃ彼にだまされたようですね)

 「だます」意味の時には「何に関して」を示すためにonも一緒に使われる。

 do~inにはもう一つの意味があって、「くたくたにする」、つまり「ひじょうに疲れさせる」というのがある。むずかしい単語を使えばexhaustというのがあるが、日常会話では、やさしい単語を組み合わせて使うのが普通である。

  This walk really did me in.
   にの散歩でほんとうに疲れてしまった)

 「疲れさせる」意味のdo~inは受け身で使われることも多い。
  l played six sets of tennis today. I'm really done in.
  (きょうはテニスを6セットもやったもんで、くたくただ)

スピードに関係するdo

 まず例文をみよう。

  l was doing 80 miles when the police stopped me.
  (時速80マイノレで走っていた時に警察に止められた)

 これは誠に単純な使い方であるが、doの後に距離を示す数字を持ってくるだけでよいのである。

 doの後に数字がくる使い方にはもう一つ面白いのがある。年月を示す数字がくる用法である。

  He's done two years in prison.
  (彼は2年間服役した)

 この文脈では、doは「監獄で服役する」という意味になる。

「観光旅行する」意味も
  I’m going to do Japan in ten days.のように、doの後に国名、地名がくるとdoはどういう意味になるだろうか。

 意外と言えば意外であるが、旅行する時によく使える表現なので便利なものである。英英辞典には、to visit a place and see everything interesting in it (ある場所を訪れて興味のあるものすべてを見物する)と説明されている。とすると、前記の英文は、「10日間で日本全国旅行をするつもりです」という意味であろう。不十分ではあるが、日本語の場合そんなところで満足するしかなさそうである。

 さて、doとはまことに多様な顔を持った動詞である。do one's best (最善を尽くす)といったよく知られた用法については、特にここで触れなかったが、doにはこの他にも実にさまざまな用法がある。一つ一つ、日常のコミュニケーションの中で使う用法をマスターし、コミュニケーション能力に幅と深味を加えてもらいたいものである。