ロサンゼルスと麻薬とセックス

 

  マリコ夫人(UCLA人類学教授)も話に加わってきた。

 「私の研究室に日本からきた女子学生が2人いるの。その1人が先日、私のところにわざわざきて、『このあいだ連れてきた男の子はただの友達でボーイフレンドじゃありません』というのよ。そんなことフツーはわざわざ言いませんよネ。でも自分がふしだらだと思われてはイヤなんだそうです。日本で相当しつけの厳しい家に育ったみたい」

  「知っている日本人学生が、土曜日の午後だけダウンタウンの日本食品店で、店員

<アメリカ・ウォッチング:ショッピングは不可解>

●アメリカ・ロサンゼルスのUCLAの近くにあるメイシーズ(Macy's)という中高級デパートで、シーツを2枚買った。1枚42ドルである。キャッシャーのところでお金を払おうとしたら、ロO%割引カード」というパンフレットが目についた(写真)。それで、[この10%割引にしてください]といったところ、キャッシャーの40代白人男性は、しばし、不肖・ハラ
クの顔を見つめたあと、「オーケー、オーヶ一」といってレジスターを叩き、42ドル+消費税のお金を要求し、「これでいい?」と同意を求めた。シーツは1枚42ドルのものを2枚祠ったのだが、1枚分の請求額である。 、そういうときの頭の回転は♀い 即座に、「いい」と答えた。しかし、かなり変である。結局。 10%じゃなくて50%割引いてくれたのだ とても不可解である。

 翌日、これに味をしめ、同じお店の別の売り場でくつ下を買うことにした。同じく、ロO%割引カード」のパンフレットを指差して、10%割引を要求した。すると、キャッシャーの若い男性店員はこう説明してくれた。「当デパートのこのカードをお申し込みになりますと、何日か後に、ご自宅にカードが郵送されます。そのカードを最初にお使いになった日に、10%の割引をさせていただいております」。不肖・ハクラク、くつ下をおいてすぐに立ち去った。200のアルバイトをしているんです。社会勉強ということで土曜日だけなんだそうですけど。ところが、そこにやってくる日本からの短期滞在者は、かなり目立つファッションをしてるんだそうです。髪は赤や緑に染めてるし、男の子はピアスしているしで」

 そういえばUCLAの大学生の身なりはとても質素である。男女とも大半がジーパンである。スカートをはいている女性は1000人に1人ぐらいしかいないが、その人は、多分、学外からきた訪問者かセールスウーマンである。髪は染めているかどうかわからないが、少なくとも、赤や緑の学生はいない。

 「麻薬とかは結構見かけるんですかワ」、と 。 タマノイさんが、[いえいえ、ロサンゼルスの一角にはそういう地域もあるらしいけど、UCしAではそういうことは全くありません。ヨーコ(タマノイさんの一人娘)の高校にはボクも注意してるんだけど、麻薬はありませんネ」

 「ただ、高校の卒業式の日に、ボーイフレンドとセックスしてしまうという話を聞くので、そういうのはちょっと心配しています」

 数日前に雨が降ったり、寒かったりで、タマノイさんは風邪を引いたらしい。ときどき咳をしている。タマノイさんをじっと見ていると、メガネをかけていて、なんだか野口英世みたいな顔をしてるように見えてくる。パートナーのケイがいうには、ケイの実弟の孝ちゃんにそっくりだという。マリコ夫人は端整な顔立ち、面長、色白。こういう顔立ちの人が日本のテレビタレントにいたと思いつつも、誰だか思い出世ない。

 

 

一人娘ヨーコ

   タマノイさんの一人娘である高校2年生のヨーコは、夕方5貽半に帰宅すると、毎日、真夜中の1時、2時まで勉強しているという。高2と高3の内申書で入学でざる大学が決まってしまうからだそうだ。ある晩、私たちがタマノイ家の夕食に招かれた。タマノイさんがテーブルに料理を並べているその最中に、ヨーコは化学の宿題である量子力学の本(オイ、高校で量子力学ダゾ0をもってきて、タマノイさんにあれこれ質問していた。UCLA教授が家庭教師である。タマノイさんは、[日本の受験勉強と同じですよ]と饂う。 、心の中で、「トンデもございません。日本の受験生よりはるかにしっかり勉強しています」、と思う。

   ヨ一コは高校を卒業後、地元の大学であるUCLAには進学しないという。親元を離れてアメリカ東部の大学へ進学したいらしい。タマノイさんは、「親元を離れた大学へ進学しないと、ヨ一コが、彼女の人生を1人でまともに生きていける力がつかない」、と言う。これが、アメリカのまともな親のまともな子供への当然の教育方針らしい。