UCLAは教養教育を再び重視

 

 日本の大半の大学では、それまで何す年と続いていた教養部を数年前に廃止してしまった。文部省によって必須と決められていた入学後1~2年間の教養教育は、乱暴にいうと、「無駄でくだらない」ので廃止してしまった。ところが、ここアメリ力UCLAでは、委員会で3年越しの検討の末97年, General Education (ここでは教養教育と翻訳しておく)重視の方針が打ち出され, '98年から実施されるそうだ。主力委員は物理学専攻の教授陣であるという。 、「教養教育は学生の希望なのですか?」と尋ねてみた。タマノイさん、「いいえ、教授側の希望です。どういう大学教育が重要かと教授団が考え、その結論を具体化したものです」。日本でもアメリカにならって、教養教育がまた復活するのだろうか?

美しい大学の建物とキャンパス

  「2005年までに、いよあるUCLAの生命科学系の建物は全部建て直すんです。地震でいたんだところを1つ1つ壊して建て直しているんです。有名な建築家に設計を依頼して、当代一流の建物を建てるんです」。そういえばUCLAのキャンパス全体が美しいだけでなく、構内の建物は実にきれいである。どれも広々として、明るく、きれいである。そして、ホレボレとするほど芸術的なのである。日本も、現代建築の粋を集めた大学の建物を造っていただきたいものである。少なくとも、大学のシンボルタワーはそうしていただきたい。

 ただ、[建築予算の90%は寄付なんです]、とタマノイさん。

 「エー川、と 。

大学は研究と勉強をするところ

 日本の大学教官は超多忙である。超過勤務手当もないのに、土一日は働く(働かない人もいる)、夜も働く(働かない人もいる)。ただし、「人類社会に役に立つ仕事ができているのか?」と聞かないでほしい。 、「研究」と「教育」と[社会奉仕]が大学教官の仕事だと思っているが、欧米では大学教官が決してやらない莫大な量の下働きを、日本ではしなくてはならない。 、例えば、下働きとして、「空けっぱなしの講義室の窓を閉める」、「トイレの切れた蛍光灯を取り替える」、などもする。これは、「しなくてはならない」範疇に入らないかもしれないが、しなければ、「暗闇のトイレで用を足す」などの実害があるので仕方なしにやっている。ちなみに、授業は1年を通して週2~3回、学生実習は1年に10日間、入試関係の雑務は学部一大学院を通して毎年8~9回行なっている。

  タマノイさんにUCLAでの教育の義務を尋ねてみた。「授業は1年に2ヵ月やります。そのときは1週間に3回やります。他は全くないですね。大学学部の入試は、それ専門の人がやります。学生実習もそれ専門の人がやります。『切れた蛍光灯の取り替え?』、何の話をしてるんですか?」「UCLAの授業は朝8時から始まります。8時までにピシッとくるのはまじめな学生ですが、そういうまじめな学生はたくさんいます」

 そういえば後日、UCLA構内を歩いてみると、空いている講義室で学生が勉強している。カフェテリアで学生が勉強している。図書館はいくつもあってとても広いのに、8割方の席がうよっていて、学生が勉強している(1000人ぐらい見たうち、寝ている学生が3人いた)。カフェテリアには[メールや学内のお知らせをチェックできるパソコンが各2~3台置いてある。学部生用の図書館には学部生用コンピュータが70台|まどあって、フル稼動である。入口近くで学生が10人ほど列をつくってコンピュータが空くのを待っていた。