テープの書き取りをする

 

 私たちはだれでも、幼いころに書き取りをした経験があるが、それは、文字や文章をどれくらい間違えずに書けるかをテストするものであった。だが、ここで行う書き取りの目的はそれとはまったく異なっている。それは英語で話される文章に慣れるための買い取りにある。そのため、ここでは一つの文章を最小単位として書き取り作業を行う。けっして、単語を一つひとつ書き取っていき、その積み重ねて文章を完成させてはいけない。あくまで一つのセンテンス全体をひとつながりのものとして書き取るようにする。

 

 外国人と話をした場合、初めはいくらか聞き分けることができても、話が多少長くなると、もうついていけず、あとは聞き流しこしまったという経験のある人は少なくないだろう。ごく短い文章にしか慣れていないせいもあるが、これは、単語の一つひとつ(の意味に)に執着するクセを捨てきれないことが原因となっている。

 

 つまり、聞き取れなかった一つか二つの単語にこだわっているうちに、その文章全体の文意をつかみ損ねてしまったり、その実語の意味を考えているうちに、次に続く単語を聞き逃してしまつたりするからだ。

 

 しかし単語の意味が全部明確にならなくても、一つの文章の書き取りがスムーズにいけば、全体の意味は把握できるものだ。そうすればその文意に応じて、おのずと重要な単語とそうではない単語を自動的に区別して聞く能力が生じてくるものなのである。

 

 そのためにも、単語を一つずつ書き取ってから、そのうえで一つの文章を形成する方法をとってはいけない。とりあえず聞こえたとおりにIわからない部分はわからないなりにIワンセンテンスをざっと書き取る。次に、そのよく聞き取れなかった部分を確認するために再び聞き直すというやり方で、文章を完成させていくのである。

 

 ただし聞き直すときも、書き取ったものを見ながら聞いてはいけない。つねに耳に入ってくる音声だけを頼りに、聞き取れるまで何度でも聞き直し、不正確な部分を書き直していくこと。そうしないと、そのわからない部分の「意味」を考える落とし穴に、またはまってしまう。

 

『英語は絶対、勉強するな』チョン チャンヨン著 (定価1300円)より 

 

 

 

 

わからない単語は英英辞典で確認する

 

 英英辞典を使うのはもっぱらスペルの確認のためだ。正確に書き取つたうえに意味までわかればいいが、ここで重要なのは、それよりも発音とスペルを一致させることである。英英辞典を使つても正しいスペルがわからない場合は、テキストの助けを借りなければならないが、それはあくまでも最後の手段としてとっておくこと。そうでないと、自分がどんな発音に弱く、間違って聞き取っている単語は何かなど、自分の聞き取り能力の欠点や傾向について正しい認識ができなくなる。

 

 こうして英英辞典を引き、再びテープを聞くという過程をくり返すうちに、しだいに自分のヒアリングカの特徴がつかめてきて、同し間違いをすることも少なくなる。私たちにもっとも多い失敗、たとえば、Lと日の混同などもこうした過程を通じて正すことができるのだ。

 

3 始めから終わりまでを大きな声で、テープをまねしながら読む

 

 書き取った内容を最初から最後まで、自分の口で再生してみる。ここで大切なのは、「大きい圉」と「始めから終わりまで」だ。大きい声で読むのは、自分の話す英語に自分の耳を慣れさせること、さらに、あとで自分がしゃべったときにその英語の音声に驚かないようにするためだ。また始めから最後まで読み通すのは、通読の能力を身につけ、長く英語を話す能力を養うため。テープの発音を徹底的にまねする覚悟でやるべきで、そのためには音だけではなく、声質もまねする「声帯模写」の要領でやるのが効果的である。

 

4 英語に完全に囗が慣れたら終わる

 

 英語に口が慣れた、英語が口になじんだということは、舌が音を記憶して、発音に熟練したことを意味している。書き取ったものを見なくても、自然に、流暢に言葉分口から流れ出てくる。そういう状態になったら、その水準に達しかと考えていい。

 

 この場合、自分の読む声を録音して聞いてみると客観的な自己診断がしやすい。自分の声を録音で聞き直してみると、読んでいるときは正しく発音しているつもりでも、意外なくらいおかしな発音、間違った発音が多いことに気づくはすだ(方言で話すが自分ではそうと気づかないように)。もちろん、間違って発音している部分を集中的に反復して聞き、それを直していくことが大切。再び録音して比べてみると、その進歩の度合いに自分で驚くはずである。

 

5 まとめ

 

 この第ニステップは第一ステップで聞き終えたテープだけを使って行う。聞き取りの終わっていないテープや新しいテープを使ってはいけない。また第一ステップを省いて第ニステップから始めてもいけない。

 

『英語は絶対、勉強するな』チョン チャンヨン著 (定価1300円)より