多文化共生社会では言語サービスの充実が必要不可欠

日本に在住する在住する外国人の数は200万人以上で総人口の1.5%に達したといいます。これらの外国人が日本で快適に生活を送るためには彼らが居住する自治体から十分な翻訳サービスの提供を受ける必要があります。実際、彼らは身近なレベルでの情報を必要としています。たとえば、ごみの出し方、住居の見つけ方、病院時の対処の仕方などといった具合に、彼らは生活をするという意味でさまざまな情報を欲しているのです。

提案されている言語サービスの具体例のいくつかを抜粋すると次のようになります。

① パンフレット、広報し、ウエブサイトなどで生活情報を提供すること
② 災害・事故・緊急医療などに関する翻訳サービスを提供すること
③ 道路標識・案内標識など公共のものや場所での他言語表示を提供すること
④ 相談窓口を提供すること
⑤ 日本語教育を提供すること

①に関しては具体的なサービスの内容は、外国人の登録方法、税制などの情報、保健・福祉・教育に関する情報、ごみの分別などの生活に関する情報などが挙げられています。

宮崎県が発行する外国語によるパンフレットの数は35に上っています。内容は内外から観光にやってくるであろう外国人を対象にした宮崎の観光を紹介する冊子や宮崎県に居住する外国人を対象にした冊子などです。

宮崎県以外にも市町村が独自に冊子を制作しています。宮崎県にある9市35町村のうち観光や生活に関する冊子を発行している市町村は15あり、その割合は28%となっています。使用されている言語は英語、韓国語、中国語がほとんどです。注目すべきは都城市が「外国人のための都城生活ガイド」をタガログ語でも発行していることでしょう。これは宮崎県に居住するフィリピン人995人のうち宮崎市に次いで203人というフィリピン人が都城市に居住していることが原因であると考えられます。

効果的な言語サービスを行うためには広報誌などの工夫も必要です。その際、外国人にとって「わかりやすい」ことが肝要です。具体的には、多言語か、日本語の平易化、英語の平易化などがカギとなるでしょう。他言語化とはできるだけ多くの言語で徐放を発信することです。これにはそれぞれの自治体にどのような国籍を持つ外国人が居住するかが前提となります。もちろん各自治体に居住するすべての外国人の言語で情報を発信することが理想であることは言うまでもありません。

日本語の平易化とは、外国人にも分かるように日本語での記述に努めることです。具体的には、漢字を減らし、読み仮名をふったり、一文の長さを短くしたりすることがわかりやすい平易な日本語につながります。英語の平易化も同様です。これは翻訳会社に求められている要素でもあります。

②に関しては、特に緊急時の病気に対する対応が考えられます。愛知県豊田市では救急車で外国人を搬送する際に13の言語で書かれた質問票をみせて回答してもらう事例が報告されています。また、③に関しては、大都市では他言語での標識表示がみられるし、数字の表示を算用表示に統一したり年代を西暦で表示したりと、日本での表示を外国人に理解しやすいように心がけている自治体も見られるようになってきています。

④に関しては、石川県が7人の国際交流員(中国、韓国、イギリス、ブラジル、ロシア、アメリカ、オーストラリア)が窓口相談を担当している事例が報告されています。最後に⑤ですが、多くの自治体で国際交流センターが主催する外国人向けの日本語教育が該当するでしょう。