リスクありのリサーチなんだ

 

 「アメリカの大学や研究所が申請する研究費の審査もそうだね。デュアルシステム、つまり、選抜は2段階ある。1段目はピアーレビューシステムといって同じ専門分野の研究
者が申請研究の内容を審査する。日本みたいに、どこかの大教授や偉い人が、その人の専門分野以外の申請研究まで審査してしまうのは、かなりマズイね。ここだったら、裁判
沙汰だね」

  「それから、デュアルシステムの2段目だけど、2段目の審査会には、科学者でない人、つまり弁護士や映画俳優なんかが審査委員に入っている。一般国民の感覚で判定して
、国民の納得のいく線を出そうということだ。癌研究所のことしか知らないけど、雇用機会均等法とか、地理的分布なんかも考慮する 例えば、ネブラスカ州には大きな大学病
院がないから、あまり優秀な研究者がいない。でも国民の税金だから、ネブラスカ州に研究費が極端に少ないのも不公平なんて、マ、そこからの申請にやや有利な点をつけたり
する」

 「それから、日本はもっと若い人にチャンスを与えるべきだね。教授を中心に研究費を配分していれば、論文がでるという意味じゃ“安全’かもしれない。しかし、それでは
、本当にクリエイティブな研究をサポートしているとは思えない。“安全”を中心に考えたらリサーチじゃなくなってしまう。リサーチつでのは、本来、リスクがつきものなん
だ。危険じゃない冒険なんて、誰も評価しない。すごく危険だからこそ大冒険なんだ。リスクがあるからこそリサーチなんだ。むしろリスクのあるUサーブを積極的に援助しな
いと、クリエイティブなリサーチを育成することはできんだろうね]