熱傷、火傷の治療:局所療法、全身療法、補液法

 〔治療〕

 1)局所療法:①流水でどんどん冷やし〔30~60分〕、あるいは氷嚢で冷やし、清潔な布で包んで医師へ。②ヒビテン水・イソジン液などで消毒、異物除去。③水疱が大なら内容吸引または水疱を剪去。④痂皮・血痂・膿苔で不潔ならばリバノール亜鉛華軟膏・抗生物質軟膏など貼布。⑤真皮深層熱傷では蛋白分解酵素軟膏で白苔除去。⑥開放療法(exposure method):消毒後無菌的に露出乾燥させ、痂皮下に治癒を待つ。とくに顔面・外陰部。⑦閉鎖’包帯法:抗生物質ステロイド剤を塗ったトレックスまたはソフラ、チュールをあて、上に滅菌ガーゼ、滅菌脱脂綿を十分あて、弾性包帯をして2~3週間放置。⑧皮下熱傷は壊死部の分界・自家融解の頃に植皮。⑨四肢とくに幼児では上皮形成後急速に瘢痕拘縮を起こしやすいのでシーネをあてておく。⑩凝固法(coagulum method):酸〔ピクリン酸・タンニン酸〕、色素〔ゲンチアナビオレット・ブリリアントグリーン〕などを塗布。 400イ音ゲンチアナビオレット・400倍ブリリアントグリーン・1、000倍ノイトラルアクリフラビン溶液を等量混じ、創面消毒後これを噴霧〔1日3~5回〕、2、3日で痂皮が形成され、その下で上皮再生が行われる〔三色素法〕。⑩第3度熱傷:特に感染〔緑膿菌〕予防、焼痂の除去〔debridement〕、局所化学療法〔topical chemotherapy ; マファテートクリーム、ゲーペンクリーム〕、減張切開、代用植皮(biological dressing)〔porcine skin とくにlyophilized porcine skin ; LPS]、植皮。

 2)全身療法:小範囲でも、感染予防、脱水に対する監視は必要。

 広範囲熱傷では、①受傷状況の詳細を聞き、②体重測定・受傷面積測定、重症度判定、滅菌シーツへ臥床させる。③vital sign 確認〔血圧・呼吸・脈拍・尿量など〕。④気道確保・酸素投与〔必要に応じ気管切除〕。⑤鎮痛・鎮静剤投与[経静脈:精神安定剤・アヘン]。⑥血液検査〔Hb・Ht・血球数・蛋白量・尿素窒素・Na・K・C1 ・ ガス分析・血液型〕、尿検〔量・蛋白、留置カテーテル〕。⑦静脈確保と補液⑧胃サクション挿入〔急性胃拡張防止〕。⑨感染防止〔壊死塊は細菌感染の培地となりやすく、敗血症を続発する危険あり、状況に応じて破傷風予防〕。⑩心電図・胸部X線その他。⑥強心剤〔ジギタリスなど〕、酸塩基平衡保持、ステロイド〔ショックに〕、利尿剤など。

 3)補液法:必要に応じ静脈切開を加え、表13-3のEvans 法、 Brooke法またはBaxter法にしたがって行う。

 膠質液(colloid solution):全血・乾燥血漿〔血清肝炎に注意〕・プラスマネート・デキトラン・ゼラチンなどによる血液浸透圧の維持・蛋白の補給・赤血球の補給。

 電解質:乳酸加リングル液〔Hartmann液〕・生食。